PVCフィギュア改造作例(黒猫→うどんげ編)  ページ8
さて、ブレザーの塗装に戻ります。
そもそも黒のブレザーなので、影はそんなに目立たなくなります。
なので今回は黒のべた塗りの上に、ダークグレーでハイライトを入れていくやり方で塗装しています。

しかし衣服は当然髪の毛ほどツヤツヤではありません。ハイライトはキツくなると、ツヤの表現に見えてしまうので、やりすぎは禁物です。

ネクタイもしっかりマスキングして黒の塗装です。
流石は黒なので、はみ出したネクタイの赤はしっかり隠蔽されました。
マスキングを剥がしてみると、赤いラインが思いっきりブレザー側に残っています。
マスキングの失敗ですね。
どんなに塗装の名人であろうと、ある程度は覚悟しなければならない部分でしょう。
(撮影用わざととは言えこれは流石に失敗しすぎですが)
ようは、どうやって修正していくかです。

先ほどと同様、極細面相筆(この程度なら、先ほど目を描いた使い古しで十分)とリターダーを入れた塗料でリタッチ修正していきます。

リタッチ修正はいつ何処で要求されるか解りません。エアブラシで吹いた混色も必ず作品完成まではある程度の量を保存しておきましょう。

また、ブレザーが黒のため立体感が出しづらく、ネクタイと相まってのっぺりした印象を受けるので、
ネクタイもブレンディングにより、立体感と布の質感を強調してみました。
ちょっとブレンディング塗装はまだ未熟なので、ややネクタイだけ油絵の様な大味なタッチになってしまいましたが・・・。

リタッチ前よりは鮮やかで全体的にメリハリのある仕上がりとなりました。
ここまで来れば出来たも同然です。
ただ油断は禁物・・・。
細かい部分は面相筆で塗装していきます。
特に小道具が多い場合は結構大変な作業です。
ですが、ここもリターダーがあれば怖くはありませんね。

また、今回、このボタンはプラ製に置き換えたので問題ないですが、ソフビやPVCは模型用の塗料が食いつかないことが多く、特にシルバーなどのメタリック系は、サーフェイサーの上から吹いても、メタリックの粒子が剥がれてくるという事態になりかねません。
ソフビリペイント職人の中でも、ウルトラマンのリペイントなどは鬼門みたいですね。
そういった場合、Vカラーのシルバーなどを使うことをお奨めいたします。
今回は特に問題なく塗れていますが・・。
プラ用塗料が食いつかないケースは、ポリ系素材、金属、ソフビが顕著です。
しかしABS樹脂、レジンなど、素材に対しての塗装法をそれぞれ異なるので、1作品を仕上げる上でも勉強する必要があります。
私もまだまだ精進が足りない部分ではありますね。
一通り塗装は終わりました。
しかし、全体的にツヤツヤで玩具っぽいです。
しかも表面が保護されていないので、何かの弾みで塗装を痛めてしまう可能性は大いにあります。

それでは、これから表面を保護し、ツヤを整えるべく、最後の塗装、『クリアー層』に入りましょう。
前回のジムスナイパーUでも同様の処理をしましたが、スーパークリアーつや消しを全体に吹き付けます。
ですが、スプレーは粒子が濃く、大振りなので、目には見えづらいですが塗装ムラが起こりやすいです。
缶スプレーの宿命ですね。

つや消しクリアーを吹く注意点ですが、絶対に湿度が高い日、場所を避けましょう。湿気が入ると白く曇る『カブり』という現象を引き起こします。

また、吹き出した直後の塗料がパーツに直接当たらないようにすること。
ノズルに溜まった濃い塗料の粒子などが直接当たると、塗料が溶けたりする等、失敗の原因になります。


30センチ程度離しながら、軽く布きれでもかぶせるような感覚でスプレーしましょう。
近づけて一気に乗せると塗装面がスプレーのシンナー成分によって溶け出します。

一定の距離を取るのは、空気中で一端塗料を生乾きにさせるためです。

スプレーにも色々テクニックがあります。いきなり出来る物でもないかもしれませんが、エアブラシと平行して使用すれば、これもまた非常に便利な物です。
吹きすぎに気を付けながら、一回塗っては数分乾かして〜を繰り返します。
それでも30センチも離しているのでスプレー出来なかったところはツヤが残ります。

あとはエアブラシでつや消しクリアーを部分的に吹いてやると良いでしょう。
薄くてもクリアーが乾いていれば、カラー層をエアブラシ塗装で溶かしてしまう危険性も少なくなります。
全体的に同じくらいのつや消しにするには、的を絞れるエアブラシと併用すると効率がいいです。

同じつや消し具合にこだわるなら、スプレーのスーパークリアーを一度空き缶などに吹き出し、それをシンナーで希釈した物をエアブラシで吹くという方法もあります。
通常の瓶塗料よりもシンナーは遙かに少な目がポイントですが、かなり手軽に缶スプレーの色を出す方法です。

クリアーの瓶塗料にフラットベース(つや消し用添加剤)を入れる方法は、多く入れすぎると一気にカブりの原因になるので、実はなかなか難しいところです。

ほぼ最後の難関となりますが、コレさえ終われば、あとは瞬間接着剤などで組み立てて完成です。
ラストの接着で気を抜いて汚したりしないように。
さて、こちらは予め塗装した極薄のプラ板に『東方緋想天』のキャプチャ画像から印刷したうどんげのスペルカードをシールにして貼っています。

デカールでも良かったのですが、かなり時間と予算がかかってしまうので、余っていたタトゥシールを使用しました。
キツイ曲面だと剥がれることもあるタトゥシールですが、今回は平面でその様なことはないので、タトゥシールで十分です。
ステッカー類も基本的には適材適所です。
MDプリンターで印刷した水転写デカールに頼るところはやはり多くなりましたが・・・。
(インクジェットプリンターではそもそも白インクの印刷が不可能なため)

MDプリンターも発売してからかなりの年数が経っているので、ピクセルの精度で言うなら、最近のインクジェットプリンターの方が安物でも高性能です。

細かい描写が必要で、かつタトゥシールでも可能な場合は、こちらの方が良い場合もあります。

※(カードのデザインには著作権が関わることがあります。商業利用などの際は、使用前に必ず著作権管理者様の許可を取りましょう。作品によっては個人作品でもネットにアップロードする場合などに許可が必要な場合がございます。)
完全に乾燥、定着させ、丁寧に切り出せば極小のスペルカードの完成です。
仮面ライダーなどにも、カードを持っているのがいますね。剣とか。
また、カードキャプターさくらなんかもカードを持っています。
実はカードが登場する作品ってアニメ、ゲーム問わずかなり多いですよね。
手に持たせてよし、ベースに飾ってよし、かなりお手軽に模型としての精密度、高級感をプラスできる方法の一つです。

これもスーパークリアーで仕上げます。
剥がれや色あせも心配なので。
ですが、一気にスーパークリアを吹き付けすぎるとインクジェットのインクが溶け出します。
これも30センチ程度離して、ゆっくり乾かしながら、何度もクリアーを重ね塗りした方がよいでしょう。

また、接着剤などでもインクが溶け出すことがあります。
クリアーや接着剤でインクが溶けるのはインクジェット、MDプリンタに関わらず起こりえる事なので、固定や塗装の際には注意が必要です。
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