PVCフィギュア改造作例(黒猫→うどんげ編)  ページ5
パテは1日〜3日ほどで固まります。
湿度にかなり左右されますが、固まったと思っても慌ててヤスリがけをすると折角埋めた傷も、後でヒケって再び出てくるなんて事になりかねません。
ゆっくり待ちましょう。
しっかり固まったのを確認しましたら、400〜800番の耐水ペーパーで水を付けて磨いていきます。
写真ではスポンジヤスリを使っていますね。
前回のジムスナイパーUの時はカドを出すためにが○が○くんの棒に紙ヤスリを巻くという方法を使用していましたが、今回は服のシワの奥や、柔らかい湾曲に対応すべく、耐水スポンジヤスリを使用しています。(写真は800番)
この後、1000番以上の耐水ペーパーで僅かな梨地も磨いていきます。
ですが、現状では、磨けば磨くほど、新たな傷が見つかったり、ヒケで傷が復活したりの連続です。
心が折れそうになりますが、ここでどれだけ時間を使うかによって完成度が変わると言い切っても良いくらい大切な行程です。

実際、今回も形的にうどんげに改造するよりも、2倍以上は時間を使っていると思います。
3倍以上かも・・・。

こちらはスカートです。
スカートは形状的に手を加える必要はないのですが、PVCフィギュアの特徴として、エッジがだるくなっています。
電動リューターで削って、エッジを鋭く立てることによって、精密さを出します。
同時に、スカートのパーティングラインも消しています。

元々あるフィギュアを改造するケースの場合、こういった手を加えなくて良い部分に手を加えて、初めて一歩上のワンオフとしての良さが出るのではないでしょうか?
プラ板の積層で、今回の小道具である銃をスクラッチしました。

更にシリコン型を作り、レジン複製しています。

長くなるので今回、その説明は割愛させていただきます。
今後、あえてこの二つの特集を組むと思いますので、その時までお待ち下さい。
それでは、銃を複製する行程はぶっ飛ばして、手を作っていきます。
手は細い表現が多いのでエポキシパテを使います。
まずはパテを練って開いた状態の手を作ります。
開いたと言っても、まだ指は分けていません。
また親指もない状態の、大まかな形です。
ちなみに、針金などの骨を入れる必要はありません。
開いた状態で、デザインナイフで人差し指だけ切り分けます。
その状態でパテを銃に巻き付けます。

この巻き方だと左手ですね。
まだ柔らかいスキを狙って、中指、薬指、小指を分ける線をナイフで付けます。このままだと指の股が広がってしまうので、素早く整形して、指の角度を整えます。

それが終わったら、まだ若干軟らかいウチに袖口にはめ込んで袖口との形状の一致を図ります。
手早さが要求される作業となります。
ちなみに完全硬化しても、ある程度力を加えれば、手首は外せますが、どうしても外せなくなる事態が不安な人は、袖口にメンタームなどの油分のある軟膏などを塗っておくと離型剤になります。
ただし、そのまま放置してしまうと塗装の障害になります。
先ほどのエアーサロンパスの話にもありましたが、塗装面などにどんな影響が出るか解りません。
メンタームなどで離型した場合は、必ず念入りに洗い流すか削り落とすなどの作業を行ってください。
パテが固まったら、袖口から取り外します。
間接毎にデッサンを描き入れ、そのデッサンを元にナイフで削りだしていきます。
ある程度の形が出たら、親指をパテで追加し、改めてプロポーションを確認しましょう。

親指が固まりましたら、同様に削り出します。

最終的に、袖側と手首側にピンバイスで穴を開け、金属線を差し込めば差し替え式の手首が完成です。

こうして手は作られます。
手に関してはこれから表面処理という事になります。
入り組んでる上、力を加えすぎると細い指は折れてしまうので、表面処理はなかなかに時間とストレスがかかる部分です。
まして、付け替えが多い場合などは大変な目に遭います。
ですが、武器の付け替えは男のロマンです。
今回はそこまでしなくても安定しますが、安定した取り外しと強度を実現したい方は、ネオジムマグネットなどを仕込むと良いでしょう。

基本的に、銃に限らず、全ての手の表情はこうして作られます。
全てのヤスリがけが終了しました。
しかし、目視で綺麗でも、塗装をすると細かな傷やヒケなど、まだまだ粗は残っている物です。

塗装の時に出てしまうと、塗装を潰してヤスリがけに戻るか・・・見なかったことにするか・・・
どっちにしてもかなり後悔する羽目になります。

そこで、『サーフェイサー』という塗装用下地スプレーを吹き付けます。
文字通り、塗装の食いつきをよくする物ですが、石粉などが含まれているので、細かいヤスリ傷は消してくれます。
吹き付けすぎると細かいモールドなど、埋まらなくて良いところが埋まるので要注意ですが、これで目視で粗を確認できます。
まだヤスリ足りないところを確認したら、再度パテ埋め、ヤスリがけ、サフ吹きの順に反復します。

まだまだ表面処理地獄は終わりませんよwww

塗装前にサーフェイサーを吹いて仕上げますが、この目視のためのサフ吹きの事を俗に『捨てサフ』と言います。

サーフェイサーで全体がグレー一色になりました。

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