PVCフィギュア改造作例(黒猫→うどんげ編)  ページ4
髪はそのまま束にしても良いのですが、やはり細い束が含まれていると、空気の流れの再現や、髪としての説得力が増します。
しかし、石膏紙粘土ではそんなに細い再現は出来ないので、ここはエポキシパテで作ります。
まずは真鍮線などの細い針金を螺旋状にねじります。
後で切断し、長さを整えることを考えるなら、0.5ミリ程度の真鍮線が良いかと思います。

コレを細い髪の束の付け根に差し込み、瞬間接着剤で固定します。
ある程度くねらせて、表情が固まったら、この針金にエポキシパテを盛りつけて定着させます。

これと同様に、毛先など折れやすいと思われる部分も一度切断し、エポパテに置き換えると強度が増します。
固まったら全体を確認します。
ハデめに作ろうとしたら長すぎたので、跡で切断します。

コレを削りこむことで、細い髪のラインを再現していきます。

先端もエポパテに置き換えました。
こうすることで、石膏粘土では脆い毛先も、ある程度衝撃に強く、鋭利に削りこむ事ができます。

石膏粘土に対しパテが定着しない場合は、瞬間接着剤を使いましょう。
さて、おおよその形が出来てきました。
これからが一番大変です。

永く辛い表面処理地獄の始まりですw
ひたすらヤスリがけとパテ埋め処理の反復作業が続き、心が折れますorz

ですが、この表面処理をどれだけ丁寧にするかによって完成度は大幅に変わります。

この行程が、大量生産品とワンオフ作品との最大の違いかも知れませんね。
まずは豪快に180〜320程度のヤスリでパテ盛りした部分の粗やパテとPVCの境目によく出る隙間などをヤスリがけしていきます。
電動リューターをお持ちの方はそれが一番手っ取り早いですが、加減の調整が難しいので、手元が狂って余計な傷を付けてしまったりする事も多いです。
ガンガン使って道具に対する熟練度を高めていくべきですが、どんなに熟練していようと、最終的には手作業による修正が必須となります。
これは電動工具の使用に限らず、そして模型に限らず、全ての作業に言える事ですね。
さて、先ほどからパテと一口に言ってきましたが、パテにも様々な種類があります。
細かい傷を埋めるのにはこちらのラッカーパテを使います。(タミヤパテという名称で売っている所もあります。)
練り合わせの必要が無く、空気乾燥で固まります。
また、ラッカーシンナーで好みの固さにして使用できます。
欠点としては、肉やせが激しいという事と、傷の補填以上に盛り付けが必要な整形などには全く使用できないという点でしょうか。
広い面に大量の処理が必要な場合には、この様に指ですり込んでいくのが効果的です。
しかしシンナー成分を含んでいるため、シンナーで肌が荒れるなどの体質の方には決してお奨めできません。
自己責任でお願いいたします。
個人的にラッカーパテを素早く均等にすり込むのはどんなツールよりも指が最強だと思います。
あくまで自己責任ですが。
深い傷や大きな欠損がある場合は、爪楊枝などでピンポイントのすり込みを行います。
周囲はある程度ケバだって固まってしまいます。
また、乾燥による肉痩せにより、一度や二度傷を埋めた程度では、すぐに傷が復活してしまいます。
ある程度は仕方がないので、反復した作業が求められます。
必要なのはテクニックよりも根気です。
大きな傷を念入りに処理した後は、シンナーで溶いたラッカーパテ、通称『溶きパテ』を全体にすり込みます。
こうすることで、細かい傷は埋まってくれます。
また、爪楊枝のピンポイント処理でケバ立ったパテの周囲がある程度落ち着いてくれたり、
グレーで統一されるため、今まで目視で確認できなかった傷やプロポーションの狂いが確認できるようになります。
脆く傷つきやすい石膏粘土の表面をある程度強固な物にしてくれる効果も期待できます。

石膏粘土のパーツに限らず、今回はほぼ全てのパーツに溶きパテのコーティングを行っています。
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