PVCフィギュア改造作例(黒猫→うどんげ編)  ページ3
定着したらプラ板に、前髪パーツの外縁に沿ってアタリをつけます。
これもシャープペンシルでいいですが、プラ板にシャーペンはのりづらいので、予めプラ板に1000番程度のヤスリをかけるか、ガンプラマーカースミ入れを使うという手もあります。
ただガンプラマーカー使用後は、シンナーかヤスリがけでしっかり落としましょう。
塗装したときに、溶剤で溶けだしたマーカーが表面に出てくるなど、思わぬ塗装の障害になることがあります。
アタリからプラ板を切り抜けば、前髪と後ろ髪を分ける平面の完成です。
コレにエポキシパテを盛りつけて、前髪を作っていきます。
前髪は顔面に定着しないように、予めマスキングテープ(ジムスナイパーUの時も使用した、塗装避けの紙テープ)を貼っておきます。
塗装以外にも、こういった樹脂や粘度の定着避けにも使用できます。
瞬間接着剤などの接着剤、シンナーなどの溶剤は浸食する力が強いため防げませんが、ある程度の物は大体防ぎます。

プラ板は、前後の髪パーツを綺麗にかみ合わせるためという意味もありますが、石膏粘土はプラ板に定着せず、逆にパテはプラ板に定着しやすい(不安な場合は瞬間接着剤の使用を推奨)という性質を使い、手軽に前後パーツを分けてしまおうというプランでもあります。
前髪はエポパテをこよった物で束を作り、それらを横に並べていきます。
硬化後、削ってシャープにすることが前提なので、デッサンよりも長さや太さ共に、少し余裕を持って作ります。

また、後ろ髪と前髪との接合部分も石膏粘土で固めてしまいます。
これだけガッチリ固めてしまっても、プラ板のおかげで硬化後はペリっと簡単に剥がれます。
一応、プラ板とパテと石膏粘土との明確な違いが解るように、プラ板の頭がうっすら出る程度には残しておきましょう。完全に埋没すると境目が解らなくなり、剥がすとき困ります。
最悪、硬化後にヤスリがけを平行して行い、表面処理とプラ板の目だしを一発でやるという手もありますが。

また、プラ板を噛ませている以上、オーブンやヒートガンでの強制乾燥は厳禁です。
東方シリーズでもしながら、ここはじっと我慢しましょう。
硬化後、前髪をデザインナイフで削ってみました。
雰囲気が出てきたかと思います。

ブレザーにもみあげが定着しないよう、ブレザー側にもマスキングテープを貼っています。
ちなみに、コレくらいのもみあげなら、中に金属線などを入れる必要はないでしょう。
パテを練り合わせてから、やや固めになるまで放置して、短時間で作業を済ませれば、硬化中にダレるという事もないでしょう。
タイミングとスピーディな作業は要求されますが。

髪に関わらず、スクラッチ時の素体などもそうですが、極力金属線を入れない工作は、後々にプロポーションの狂いを修正する上で必要不可欠な要素となります。
むやみに金属線を使いすぎると、切断を要するプロポーション変更の時に切断が非常に困難になります。
次は表情および顔の変更です。
PVCは柔らかい素材です。(ソフトビニールの派生素材ですので。)
メーカーによって硬度の違いにかなりばらつきがありますが、そのまま口をパテで埋めて削ろうにも、削った部分がケバ立ったり、うまくモールドを彫り込むことが出来ない事は多々あります。
そこで、口元は豪快に削ってしまいましょう。
ちょうど右頬の部分に強烈な『ヒケ』もあったので、それも同時に削り落とし、パテでまとめて修正します。

どうしても軟らかすぎるPVCを加工する場合、
瞬間冷却スプレーで冷却しながら切削、研磨するという方法もあります。

薬品が含まれる医療用コールドスプレーは、塗装面および今後の塗装にどんな弊害が出るか予想が付かなくなるため、エアーサロンパスなどの代用はせず、あくまで冷却だけが目的のスプレーを使用しましょう。
パテが固まったら、削りだして顔の輪郭を出します
また、パテをヤスリかがけしていて、目の印刷部分が剥がれました。
見て解るとおり、目の部分は印刷されているだけであり、目の輪郭は完全にオミット(省略)されています。
1/24などの極小スケールのフイギュアならそれもアリでしょうが、1/8のワンオフ作品として、完成度を高める以上、目は造形し直しという事になります。
逆にその方が、神経を使う目の塗装ミスは軽減出来るというメリットもあります。
今回は永夜抄バージョンですので、初登場時の自信に満ちあふれたうどんげにします。
予め、800番程度のヤスリで印刷を落とし、表面を梨地にします。
そしてまたシャープペンシルでアタリを書き込みます。
コレに沿ってデザインナイフで彫り込んでいきます。


より大スケールであれば、眉毛、まつげなども造形しますが、今回それらは塗装で再現するとして、目と口だけは造形し直します。

折角なので、うどんげのキャラを強調し、ここで黒猫の面影は完全に消してしまうべく、目の描き方は全く違う物としましょう。
今回は特にデッサンがあったわけでもないので、私の絵に近いことになりますね。

うどんげは丸目で描く方、つり目で描く方といらっしゃいますが、個人的にはツリ目派です。
ですが、レミリアやパチュリーとも顔の違いを出したいので、今回はゲーム中、スペル使用時に背景に現れる『狂気の瞳』を参考に、横つり目にしてみました。
やはり目の描き方は、それぞれの絵師様の特徴が一番出やすい部分でもあるので、こうすることで、黒猫ともハッキリ差別化されました。
まずは上下のまつげに沿ってナイフを入れ、眼球の形状を出すべく内側から外側に彫り込みます。
しかしそのままでは眼球の中央が凹んだままになってしまうので、眼球自体もエポパテを盛りつけます。
中央が高く、球状になるように盛りつけましょう。
定着しづらい場合は、瞬間接着剤を垂らしますが、
目の輪郭部分に瞬間接着剤が流れると処理が大変なので、ゼリー状を極少量使うと良いでしょう。

硬化したら削り出すのはいつもと同じですが、目の輪郭部分がPVCを削り出す関係上、どうしてもケバ立ちます。
目は特に注目を集めるので、丁寧に処理したいところです。

もし、このケバ立ちを最初から回避したい場合は、口と同様に、目も完全に削り落とし、パテを盛ってからのデッサンと削りこみをしても良いでしょう。
ですが、骨格のプロポーションからやり直す必要があるので、デッサンに苦手意識のある方は、面倒でもPVCの彫り込みがお手軽です。
今回の黒猫は造形自体はかなり良いですので、
そのプロポーションを活かして作業を進めます。
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