PVCフィギュア改造作例(黒猫→うどんげ編)  ページ1
どうも。ブルーレット奥田です。
今回、中古ショップで400円で投げ売りされている黒猫のフィギュアを発見しました。(厳密には1200円黒猫3体抱き売り)

今回は、「そんなフィギュアも自分だけのワンオフにしてしまえば、再び愛される事が出来る!!少なくとも持ち主だけには愛される!!」という信念の元、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の黒猫を『東方永夜抄』の鈴仙・優曇華院・イナバに改造してみました。
安値と短時間の両立を目指したのですが、思いの外、手間と予算がかかりました・・・。その辺は反省。

この技術はキャラの変更に関わらず、ヌードモデル化、衣装換え、ポーズ変更など、市場のアリとあらゆるフィギュアで自由な表現が可能となり、
また、フィギュアのチョイスによってはゼロからのスクラッチに比べても手軽であるとも言えます。(フィギュアによっては例外有り)

当店でのフィギュア改造の流れをここでご覧に成られてはいかがでしょうか?

分かりやすい解説かはわかりませんが、極力、フィギュアに全く触れたことのない方でも解る解説を目指しました。
長文になりますが、お付き合い下さい。

さて、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』でおなじみ、『黒猫』さんです。

今回の黒猫はみんなPVCフィギュアですね。パッケージすら無かったです。
ビニール袋に無造作に入れられ、ワゴンで1200円で抱き売りされるという悲惨な状況でした・・・。
まとめて売った憶えのある人、黙って挙手しなさいwww
真ん中の黒猫は特にデキが良いのでコレクションにとっておきましょう。
そして、制服のキャラは、別の制服のキャラクターを作る上では非常に向いています。(似ている制服にもよりますが)

原型完成度も高く、フィギュアそのものの完成度自体もそこそこです。
今回は左の黒猫を使うべく、品定めをしていきます。
ちなみに、フィギュアは初期の原型こそ良くても、大量生産で複製する課程で必ず粗が生じます。
そちらも見極め、処理していきましょう。折角ならワンオフならではの完成度にしましょう。
まずはこのフィギュア、襟元に雄型と雌型の分離跡である『パーティングライン』が残っています。

金型は普通上下に二枚張り合わせ、その中に圧縮した原材料を流し込み固めます。
微妙に違いますが、タイヤキを想像していただけると解りやすいです。

そのため、型から剥がすと必ず型と型の境目にラインが残るというワケです。
これを『パーティングライン』と言います。

襟元に限らず、ほぼ全てのパーティングラインが残っていましたね。
また、肩には金型にPVCの原料を流し込んだ跡に出来る『湯口』も残っています。
これらは、原型の善し悪しに関わらず量産品では絶対残るもので、これの処理の有無で大量生産品との差別化を図ります。
また、頬と肩の付け根に強烈な『ヒケ』を確認しました。コレは前回の『ジムスナイパーU』の時にも説明しましたが、金型に注入した材料が硬化と共に肉痩せしたものですね。こちらは製品複製の段階のミスです。これらも処理していきましょう。

プランが決まったらまずは分解です。実は模型製作代行やってて一番の体力仕事じゃないか?と思うくらいのかなりの重労働です。
ですがあくまで目的は『接着面をひっぱがす』事にあります。無理してねじ切ったり、壊したりしないように慎重に。

パーツがバラバラになりました。腰のダボだけどうしても取れず、無理矢理曲げたらねじ切ってしまいました。作品には影響がないので一安心。
壊してもたいていの場合直せるのですが、やはりここは無駄に仕事量を増やさないに限ります。

また、今回、前髪や後ろ髪は新規に作り直すため使いません。
このように余剰パーツが出ますが、最低でも完成までは取っておきましょう。
コレはコレで使い道が出てくる時もあります。

ポーズを変えたり、大きな衣装を削り落とす場合はレザーソーやエッチングソー、模型用ノコが有効です。
コレは右足の股関節、右足首の関節を一時切断し、ポーズを変えています。漫画などを参考にポーズを決めますが、今回はガンカタにしました。ガンカタだと、やはり両足が地面に設置し、しっかりグリップして狙いを定めた方がカッコイイと思ったので、右足を閉じ気味にして地面に設置させます。

接着と造形にはエポキシパテを使います。各種ありますが、必ず『木工用』を使いましょう。他のはガチガチに固まって削れなくなります。
チクワ状に内と外でA剤とB剤になっていて、同じ長さを切り出せば、1:1の比率になり、練り合わせると固まります。
固まるまでは粘土のように自由に造形でき、固まるとナイフで削れます。また、熱を加えると早く固まり、冷やすとゆっくり固まるという性質があります。
PVCの改造の場合は、むやみに高熱をかけるとPVCを痛めるので、自然硬化で作業していきます。
ポーズを決めたら仮組みしてプロポーションを再確認します。そしてそのまま硬化を待ちましょう。1時間ほどでサクサク削れるようになります。

腕を組んでいるポーズだったので、胸の部分は腕との干渉用に大きく削られています。ここもエポキシパテで補填していきます。
今回は『巨乳じゃないけどある』を目指しました。そして右腕は肘で一度切断し、伸ばしたポーズにしています。
ここで、腕の長さがおかしくならないよう、まずは肩の位置から下ろしてみて、規準となる腰の高さから正確な長さを割り出します。
この辺は漫画やイラスト、デッサンの知識になりますね。
左腕です。肘の内側を一度削って、右腕同様、肘を開き気味にしています。開いた部分にはパテを盛って、肘の内側を中心に、スパチュラ(粘土細工用ヘラ)で服のしわをつけています。
鏡で実際の服を見てみたり、ファッション雑誌を見たりするのも良いですが、やはり二次元キャラを三次元にする場合、絵としてのデフォルメが入ってきます。
ここはやはり、デッサンの指南書や、別のフィギュアを参考にすると良いでしょう。
こちらは石膏粘土です。固まると石膏の様になり、削ったり、細かな表現が可能となります。
また、加熱させると固まりますが、完全硬化する前なら水をかけると柔らかい状態に戻ります。保存はタッパーで密封するといいでしょう。
閉め忘れ注意。

衝撃にやや弱く、割れやすい、意外と重いという欠点もありますがパテよりは遙かに安価です。今回は後頭部パーツは全て使わず、これらを使って新造(スクラッチ)していきます。
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