ジム・スナイパーU説明書完成写真風作例  ページ6

これはデザインナイフで削り取る方法です。これは部分塗装派の方に有効な方法です。継ぎ目消しの段階で説明した『カンナがけ』の方法で塗装だけを削っていきます。
全塗装派の人は、下の塗装も傷つけてしまうため、あまり向かない方法です。
今回は、赤の色が非常に強いため、このまま上にライトブルーを塗り重ねても隠蔽できないと判断。本当に軽くですが、削って薄くしています。

赤は目立たなくなりましたが、一部、下地のホワイトまではげてしまいました。
今後は、極細の面相筆をつかい軽く触る様に、先ほどとっておいたライトブルーを乗せていきます。
ちなみに筆での塗装の場合、硬くなった塗料を薄めるのにはシンナーではなく、リターダーマイルド(塗料軟化剤)を使うことをお奨めします。
仮にシンナーと同じ分量で薄めても、速乾性のシンナーよりもやや乾きが遅いため、筆ムラを抑えることが出来ます。
ツヤ消し塗料の速乾性を落として強引にツヤ有りにしてしまう薬剤なのですが、このリターダーを入れると、延びがよく、やや粘りけがある印象です。

これは足の裏のブースターを塗り分けているところです。筆塗りによるリタッチ修正でも、明るい色を濃い色で塗りつぶすのが基本的な考え方です。
ですが、逆に、『ブレンディング』と言ってパーツそのものの上で、油絵のように色をぼかし、グラデーションを出すモデラーの方もいらっしゃいますね。
AFV(戦車や装甲車。アーマードファイティングビークルの略)モデルに特化したモデラーさんには得意な方が多いようです。

綺麗に塗り分けられたかと思います。
エアブラシ塗装はスターティングコストの他に、知識やテクニックが必要なので、敷居が高い感じがすると思いますが、
筆塗りはシンプルな道具だけに、極めようとするとエアブラシよりも難しいかもしれません。本当に筆塗りの名人クラスの方は尊敬します。

さて、ここからは俗に言う『スミ入れ』の作業です。
説明すると、機械特有のスジボリなどを目立たせるため、黒やグレーといった塗料をスジボリに流し込む作業です。
ガンプラなどを作った事のある方ならご存じかと思いますが、極細のサインペンの様な物でスミ入れをするイメージがあるかと思います。
ですが、塗装面ではそれだと修正が出来なくなることが多いので、『エナメル塗料』というものを使います。
これは、ラッカー系塗料の上に、エナメル系塗料を塗っても完全には定着しないという特性を利用し、はみ出た部分だけをふき取るというやり方です。
エナメルシンナーにて、かなりシャバシャバになるまで薄めます。

モールドの端に筆で乗せると、表面張力で勝手に隙間を縫うように塗料が進みます。コレくらい薄いと良いです。
はみでた部分も、過度にジャブジャブ塗らなければOKです。
あまり調子に乗ってベタっと塗りすぎると、塗装表面にザラつきがある場合、エナメル塗料がザラつきの隙間に入り込み、拭いても取れなくなります。
また、常時負荷のかかっているパーツ(狭いだぼ穴にピンが強引に入っている場合など)にエナメル塗料が侵入してしまうと、エナメル塗料の浸食と厚みだけで、思いがけないところでパーツが簡単に砕けるなんて重大トラブルを招く事があります。
エナメルは必要最低限に抑えましょう。

さて、ピンボケですが、コレはジッポーライターのオイルです。綿棒の先に付けています。
実はエナメルシンナーとジッポーオイルは成分が近いので、これではみ出したエナメル塗料をふき取ることが出来ます。
また、エナメルシンナーよりも、前述のようにパーツを粉砕する事が少ないです。
拭き取りも完全にふき取れるわけではないので、これを利用してオイル汚れなどの細かい演出をしていきます。
今回はインスト風の作例なので、念入りにふき取っていきますが・・・。
また、オイルは本来模型用ではないので、メーカーによってはどんな反応が出るか解りません。自己責任でお願いいたします。

拭き取りです。重力や風のながれ、雨粒の流れる方向を意識し、各パーツ上から下への流れでふき取っています。
こうすることで、多少拭き取りきれなくても、オイル汚れなどの汚し塗装(ウェザリング)の効果となります。
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