スクウェア・エニックス フロントミッションシリーズ ヴァンダーアーツ(塗装済み完成品)より
フロスト 地獄の壁仕様 破損修理

今回は、プラモデルとかを作らない人でもみんなが一度は困る、完成品フィギュアの修理です。
直営店様から届いて、箱を開けて、開始5分で右肩関節(向かって左側)の付け根が割れました。
試しにかなり強引に動かしてみたのですが、左は全くなんでもなかったので、おそらく右側は出荷の段階でクラック(ヒビ)が入っていたものと推察されます。
こういった可動部分の破損は、接着しただけでは汚くなり、またすぐ壊れるので、接着のみならず全く別の対応が求められます。

まずは壊れた肩関節を、出来るだけ丁寧に切り取りました。割れたパーツは作業中に欠片が欠損してしまったので、エポパテに置き換えて、とりあえずの形状を戻しています。
関節の下は抜きだったので、強度を底上げするためにパテを埋め込みました。
本当は、余計な汚損・破損を防止するため、本体もできるだけ分解したいのですが、かえって壊す可能性があったため、今回は最小限で諦めての作業です。

肩関節はあの壊れたパーツをそのまま使っても、負荷がかかると割れた部分からまた割れてくると容易に想像できるため、ここは「割れていないパーツ」に置き換えます。
一度エポパテで直した肩関節から型を取り、レジンで複製しています。
レジンは引っ張りなどの圧力にも強いため、関節の渋さだけ確保できれば、強度はガシガシ遊んでも平気です。
また、レジンと本体との接着は、そのままだと心もとないので、真鍮線で骨を入れています。

本体側。こちらも真鍮線で骨を入れています。可動フィギュアなので、『ガシガシ可動させて遊べる強度』が目標です。

レジンに置き換え。パーツ形状では違和感ありません。襟元と分割線が出来てしまいますが、場合によっては埋めることも、逆に対岸の左肩関節の付け根にモールドを彫って左右統一を図る事もできます。とりあえず今回はご依頼じゃない私物なので、これに塗装して完成とします。

塗装しました。背景色の関係か、若干青っぽく見えます。今回は黒立ち上げで、Mr.カラーのメタルブラックとアイアンを混ぜたものを使用しましたが、メタルブラックだけのほうが色味が近かったかもしれませんね。

修理後、ガシガシ遊んで撮影してみましたが、全く問題有りませんでした。
レジンの縮小で若干関節がゆるい感じがしましたが、瞬間接着剤で関節を太らせて、渋さを調整し、ある程度の重量物も保持できるようにしています。
※レジン複製はその原型より2%前後ほど、複製品が縮小すると言われています。

こちらは元々塗装済み完成品なのですが、見事に復活を果たしました。
もちろん修理方法はケースバイケースです。レジン複製など必要のないケースももちろんございますので、お写真を添付の上、詳しい状況をメールにてご相談ください。

FV-24ガトリングも難なく保持できるようになりした。まだまだ関節保持力には余裕があるので、同シリーズのゼニスに付属していたバズーカなども保持できるでしょう。
ご注意
最近、メルカリ様やヤフオク様などのオークションサイト・フリマアプリにて『落札予定』のまま、おみつもりを取られる方がいらっしゃいます。
その様な場合当店としても製作のスケジュールが立てづらく、また破損状況が出品者掲示の情報しか無いためご予算や修理プランも立てにくいご相談が増えています。
逆に、「オークションサイトに出品するので買い手がついたら修理する」「買い手がつかなかったら修理する」という曖昧なご予約をご希望される方もいらっしゃり、他のお客様に御迷惑がかかっております。
さらに、「修理代を出品者に請求して欲しい」という様な、請求の代行を求められることもあり、そういった仲介の代行はいたしておりません。
当店としては出来るだけ個々のお客様のおかれる状況に合わせた対応を心がけておりますが、上記のようなご依頼はお断りさせていただきます。
修理金額のお見積を事前に出すことは出来ますが、当店で修理のご予約を取得する際は全てにおきまして、問題を解決された上で、作品がお客様のお手元にある状態から、当店に改めてご依頼頂ますよう、よろしくお願いいたします。
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